「嚥下+廃用」患者さんから学んだ2つのこと【口腔内環境の大切さ】

STコラム

過去に食思旺盛で「廃用+嚥下障害」で入院された患者さんを担当しました。

その方は、か細い声で「食べさせてくれー」と訴えます。

かづお
かづお

ST冥利に尽きるリハを展開したい!

そんな患者さんへの取り組みで学んだ2つのことをお話しします。

過去のお話しなのですこし曖昧ですが、備忘録的に記した拙い奮闘記です。

それでもよければお付き合いください。

 

※本記事はいち言語聴覚士の見解であり、嚥下病態把握の完璧な手引きではありません。
ご意見のある場合はコメント欄にてご指摘くださいませ。

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「嚥下+廃用」患者さんから学んだ2つのこと【口腔内環境の重要性】

内科系急性期の当院では、リカバリーと呼ばれるステーションに近い個室があります。

そこに現れた70代男性、Aさん。

かづお
かづお

食思旺盛なおじい様です

「こんにちは」とお声をかけると「おう…!はらへったよ」と、どっかの海賊王のようなお返事をされます。

そんなAさんの体形はるい痩。
声質はかなりの気息性嗄声でしたが、開鼻声は感じられず。

目を見て話すことができ、命令嚥下などの指示に応じられました。

 

Aさんは目立った既往歴こそないものの、過去に1度、誤嚥性肺炎を呈していました。

家族の話しでは食べるのが大好きだったと。
(娘とその旦那さんの3人暮らし)

1度目の誤嚥性肺炎から痩せが進み、以降、活気のない日があったようです。

食事は進まない日があったとか。

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Aさんへのアプローチで学んだ2つのこと

学んだことは主だってこの2つ。

  • ①:全身状態の把握
  • ②:口腔内環境の管理

とくに口腔内環境については、あらためて学ぶことになりました。

お話ししていきます。

①:全身状態の把握「嚥下評価を重ねていく」

まず、VFがない当院では、頸部聴診法による”音の評価”がスクリーニング精度を高めます。

▼頸部聴診に関してはこちら

【頸部聴診法】VFのない病院での嚥下評価でSTが意識していること
VFのない病院での嚥下評価、とくに頸部聴診法について意識している3つのことを書いていきます。

»【頸部聴診法】VFのない病院での嚥下評価でSTが意識していること

当然、頸部聴診だけでは評価不足ですので、多角的に評価をしていきます。

 

送りによるとAさんの全身状態は決して良いとはいえず、各所で機能低下しているだろうと考えました。

かづお
かづお

ラボの数値なんかも良いとはいえず

ですが評価をしてみると、副雑音はあるもののその範囲はせまく、音は出張ってこない。

湿性嗄声は追加嚥下でクリアしやすく、そのタイミングはまずまず。

咳払いのパワーも”思ったより”悪くありませんでした。

口腔顔面のパワーや運動範囲は減弱していましたが、喉頭の動きは年齢相応で、嗄声は経過とともに落ち着いてきました。

 

確実にこうだ!とは言い切れませんが、咽頭の低下はそこまで感じられません。

かづお
かづお

経口で段階的に行けそうかも…。

そんな予測を立てることができた患者さんでした。

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順調に進む、経口摂取「誤嚥性肺炎の原因は?」

初回評価より1週間以内にペースト食をスタートしました。

ペーシング指導をいれつつ、先ずはST介助と自力摂取のハーフでペースコントロール。

最初のうちはとにかく早食いでした(汗)

血圧の変動が激しいので、しばらくはベッドサイドにて様子をみます。

 

気を抜けないのがsilentですがいまのところ目立った変化はありません。

かづお
かづお

このまま固形物は大丈夫そうか。

 

さて、そうなるとなぜ誤嚥性肺炎になったのか?という点です。

この辺が解決されないと、退院後に誤嚥性肺炎を再発してしまう可能性が考えられます。

②:口腔内環境の管理「義歯調整と口腔ケア」

入院時から気になったのは義歯の不適合と、お口があまり綺麗ではないこと。

入れ歯は1度目の誤嚥性肺炎で痩せてから、未調整のままでした。

Aさんは日ごろからあまり歯磨きがお好きでなく、そこに不安定な入れ歯でモグモグ…だったわけです。

 

義歯調整を歯科さんに依頼しつつ、食塊形成訓練や口腔ケアなど、お口の使いかたに意識を向けた訓練を行いました。

「嚥下障害=義歯不安定」みたいなところがあるので、歯科さんとの連携はかかせません。

この辺から誤嚥性肺炎の原因が予想できます。

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Aさんへの嚥下アプローチを通じて【結論と考察】

何だかんだ入院がつづきましたが、一カ月ほどで「軟飯・常菜」にまで到達。

3食とも、ご自分で座って食べられるようになりました。

かづお
かづお

退院先はご自宅です。

無事に退院することができたAさんですが、

なぜ2度も誤嚥性肺炎を呈してしまったのか?その機序を考察する必要があります。

「考察」Aさんの誤嚥性肺炎はなぜ起きたのか?

健常者の7割は夜間分泌物によるsilentが存在するといわれます。

恐らくAさんもそのひとりでしょう。
そしてAさんのお口はあまり綺麗ではなかった。

口腔内の汚染にプラス、夜間のsilentとなれば、誤嚥性肺炎の可能性は高まります。

» 高齢者フレイルにおける誤嚥性肺炎に危険因子|翻訳

 

活気のない日があった理由は、唾液誤嚥の積みかさねによるものではと考えます。

食思にムラが出るようになってからは体重は落ち、義歯は合わなくなる。食べなければ栄養は不足し、筋力は低下する。

咀嚼力が落ちれば、食塊形成や送り込み能は低下する。

それは咽頭通過力に影響をあたえ、汚染された食塊が最後まで食道側へ押し込まれない原因をつくり、誤嚥性肺炎のリスクを高めさせる。

» 食事観察における問題点の把握とその分析、検査法、対応法について

嚥下患者さんから学んだこと【全体をみることの大切さ】

Aさんが誤嚥性肺炎になった機序を考察してきました。

ご説明の通り、Aさんは加齢性が発端の嚥下障害だと考えられます。

かづお
かづお

サルコペニアともいえますか。

あとはお口の手入れ…ですね。

そのため、CVAなどの嚥下障害にありがちな咽頭期へのダメージはそこまでなかったのかも知れません。

そこで思うことは嚥下障害は単一では考えられない病態だということ。

 

今回のケースでは、口腔・顔面の動きや環境が、咽頭をはじめ嚥下機能全般に影響を与えたものと考えました。

口腔内環境を通じてではありますが、一部の機能低下ばかりに集中せぬよう、嚥下には幅広い対応力が必要であることを学ばしていただいた患者さんでした。

以上になります。ではでは。

 

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