患者対応シリーズとして、今回はとても重要なおはなしをします。

カルテはきちんと書くこと!
カルテは大切な臨床記録であると同時に、リスク回避にも深く関わる土台です。つまり、STとしてのキャリアを築くうえでも重要な礎となります。
今回はすべてのSTに向けて発信します。とくにカルテの書き方や考え方に悩んでいる方は必ず目を通してください。

»【患者対応】患者への接し方が雑になっていると感じるセラピストへ
【患者対応】新人のうちに徹底したいこと【カルテはきちんと書け】
病室に監視カメラはない。
だから、自分たちの言動は自分たちで証明します。
先ず、下のカルテを見てください。
- O)昼食後のリハ。熱発し、看護師に報告。
- A/P)リハ評価、前回Do。
このカルテを見て「ヤバさ」を感じなければ、STとして危険です。
もしも、この患者さんに”こと”が起きたとします。患者家族にカルテ開示を請求されたら、このSTの将来は危ういかも知れません。
明確なカルテを書く医師の話し(リスク回避にもなる)
わたしが敬愛する内科医(50代)のカルテは、文字が判別しやすく、それに『5H1W』が明確です。
以下はその一例です。
○月△日のVFにてペースト食は問題ないと判断し、〇月◎日の昼より□□STにペースト食の評価を指示した。
部屋持ちNr●●にはCFで報告済み。□□STには食事評価後のF.Bも依頼済み。経過次第では▲▲薬の経口を検討する。
分かりやすいカルテ(報告書)の多くは、”主語”がきちんと書かれています。
主語の欠落のせいで引き起こる「いった言わない」論争は日々のこと。記載不十分なカルテは多職種(特にナース)との間に軋轢を生む原因になります。
STは「silent、NHCAP」などのある分野だけに、soapをベースに「5H1W」を意識した具体的なアウトプットを心がけてください。
» 無闇なポジティブアナウンスに注意|嚥下は「変化する病態」という認識
カルテの基本は、当たりまえなことを当たり前に記すことです。
【患者対応】具体的なカルテつくりの方法って?
現在、執筆&工事中です。

こうご期待(汗)
カルテ記載には「オンライン学習」を活用する
カルテの学習はここだけでは足りません。
先輩からの指導や臨床経験も大切ですが、動画(オンライン)での学びは自分の弱点を手軽に克服できます。
オンライン学習で有名は『リハノメ』でしょう。
個人的には嚥下分野のカルテ記載で助けられました。学習成果は当然カルテにも繋がります。自由なタイミングで繰り返し指導を得られるのでおススメです。
実際に「医療訴訟」があることを知る
有名な「EARL先生」の発信。
減食で高齢入所者が衰弱、入院2週間後に死亡 施設を処分https://t.co/ewv0FfLJ45
「男性が食べられるのに減らした」わけではなく、「食べようとしなかった」ということのようですので、根本原因は別にありそうですね。市は「男性に対して摂食を促す努力を怠った」としていますが無理があるかも
— EARLの医学ノート (@EARL_med_tw) February 15, 2025
当然ですが、役所や家族は現場の実情を知りません。分かることといえば、現場との認識の差でしょう。
その差を埋めるのは、まぎれもなく私たち医療者の記録。そう、「カルテ」もそのひとつです。
一体、どんな事が医療訴訟になるのか?
以下の文献は医療訴訟のきっかけをまとめたものです。カルテ記載の参考にしてください。
» 誤嚥事故に関する医療訴訟の解析|日病総診誌 2020:16(5)
文献の要旨。
- 20年間で26の裁判例の解析
- アクシデントは「介護施設>病院」の順
- 誤嚥事故の容認率は57.5%
- ほぼ死亡事故、重度後遺症
- 1000万円以上の高額賠償
医療事故の予防に役立った内容は以下の通り。
- 見守りは適切であったか
- 食形態は適切であったか
- 誤嚥時の救急対応は適切だったか
- 経口、経腸栄養以外の選択肢
こういった現場の記録が、訴訟の予防や減少に役立ったと伝えられています。

詳細は文献のURLをご覧ください。
自分を守るため、組織を守るため、そして患者を守るためにできること。そのひとつがカルテであることを忘れないで下さい。
ではー。