英国研究グループにより作成された「RISP」とよばれる失語訓練について、どのような手法なのか、文献をしらべてみました。

喚語力に注目するSTは必見!
※本記事はいち言語聴覚士の見解による執筆であり、病態把握などの完璧な手引きではございません。
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参考文献:喚語障害を主症状とする失語3例に対する Repeated, Increasingly-Speeded Production(RISP)訓練の試み
【喚語訓練】失語症訓練「RISP」について調べてみた【文献情報】
RISPとは、「呼称に速度を要求することで喚語力をUPさせる」という訓練方法です。
そのため失語症状が軽度で、”流暢でより自然な発話”をもとめる患者さんにはバッチコイな訓練だといえます。
また、訓練後も1ヶ月は効果が維持されていたようです。
ST「必読」の文献をまとめたページもあります

»【必読】言語聴覚士おススメの文献をまとめて掲載【随時更新】
どういった方法で訓練していくのか?
呼称に”制限時間”を設け、訓練回ごとに「5秒→4秒→3秒→2秒→1秒」に短縮していきます。

最終的に1秒以内の呼称をめざします。
誤答時は、音声と文字を提示して、音声での発話を3回くりかえしてもらうようです。
RISPで使用する訓練素材
基本的にはわたしたちが日々臨床で使用する絵カードなどで問題ありません。
文献では訓練に用いる単語を事前評価からそれぞれ選出していました。
どんな患者さんにRISPをしたのか?
文献では3名の患者さんにRISPを実施。
- 60代男性、失名詞失語(発症12年8か月)
- 70代男性、ブローカ失語(発症5年11か月)
- 60代男性、伝導失語(発症19年10か月)
3名とも発症から年数経過していますが、RISPにより治療効果が認められています。
重症度は古典分類にて「中等度~軽度」とのこと。訓練頻度は「週1回、約40、計8回」でした。
RISP訓練の「結果と考察」
3名とも「呼称」正答率が向上しており、その効果は1か月後でも持続。
また、状況画の説明では3例とも、発話中の語生産が訓練前に比べて10%増加していました。

よい訓練結果が出ていますね。
文献ではこの結果を踏まえ「(状況画のような)まとまった発話での喚語力向上」が認められたことは、日常コミュニケーションの般化に寄与するだろうと考察しています。
RISP以外の訓練も学びたい
RISPが従来型の訓練と異なるのは「呼称に制限時間を設け、徐々に短くする」ところですね。
ただ、患者さんによっては意味理解や音韻といった基礎訓練も欠かせません。

»【喚語訓練】音韻&意味セラピーについて調べてみました【文献情報】
とりわけ”早さ”を意識した場合、訓練候補のひとつに「RISP」を考えてみてはどうでしょうか?
ではー。