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【姿勢調整】嚥下リハの姿勢の意味や効果を調べてみた【文献情報】

STコラム

嚥下時の『姿勢調整』を記した文献を要約してみました。内容はシンポジウムでの検討です。

要点を得られるように記してあります。お役立てください。

かづお
かづお

嚥下の姿勢調整に悩むSTはどうぞ!

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【必読】言語聴覚士おススメの文献をまとめて掲載【随時更新】
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【姿勢調整】嚥下リハの姿勢の意味や効果を調べてみた【文献情報】

姿勢調整の目的は重力や空間を操作して、食塊の通過経路&速度を変化させ、誤嚥を防ぐことだとされます。

文献上では「姿勢調整にて約8割の患者の誤嚥が軽減」という報告もあります。

姿勢調整には「リクライニング座位」「頭部回旋」「頭頚部の屈曲」の3つを解説しており、重要なポイントが記されていました。

参考文献:シンポジウム|摂食嚥下障害領域における姿勢調整の検証

1.リクライニング座位

リクライニング座位は、床面に対する体幹の角度調整で「食塊移送を促進する」方法です。

 適応患者の例

  • 食塊の送り込み障害
  • 嚥下反射惹起遅延
    (食物の移送に嚥下が間に合わない)

咽頭から食道は緩やかな傾斜になり、食塊は咽頭後壁をつたわりやすく、誤嚥リスクが低減します。

ただし、角度によっては『咀嚼効率の低下』があるという報告もありますので注意。

2.頭部回旋

頭部回旋は、頭部を左右に回旋して回旋側の梨状窩を狭め「反対側の咽頭に食塊を誘導」する調整法です。

 適応患者の例

  • 咽頭機能の左右差
  • 一側性の喉頭不全
  • 喉頭閉鎖、食道入口部開大不全

リクライニング位と頸部回旋の単純な組み合わせだけでは『誤嚥のリスク』があると報告されています。

3.頭頚部の屈曲

頭頚部の屈曲は「顎引き、うなずき」などと言われますが、文献では「顎を胸の方向に引く(頭部屈曲位)」で報告しています。

 適応患者の例

  • 喉頭閉鎖が不十分
  • 喉頭閉鎖のタイミング遅延

顎を引くことで咽頭収縮力が低下し『食道入口部の開大が阻害』されるという報告があり、梨状窩残留を認める患者では注意。

その姿勢「複合」しても大丈夫?【回答:危険性もある】

臨床では「リクライニング座位」に「頭部回旋」など、”複合”した姿勢調整をすることがあります。

ですが、単純な姿勢の組み合わせは『誤嚥リスクの可能性』があること教示しています。

複合姿勢の「検討&調整」

文献では複合姿勢として「リクライニング座位と頭部回旋」を単純に組み合わせた場合の検討をしていました。

そこでは食塊の多くが回旋側の梨状窩に貯留後、反対側の梨状窩に押し上げられ、食道へ至るという報告がありました。

リクライニング座位のみでは「座位60°~45°」と次第に後傾になるにつれ、誤嚥が軽減された一方で「複合姿勢ではかえって誤嚥のリスク」があるとしています。

では、複合姿勢はどうすればよいのだろうか?

文献では、重力と空間をともにコントロールしたいときは、「食塊を誘導したい咽頭側に体幹を回旋させる」ことを検討してます。

つまり『頭部は正中のまま、体幹のみを回旋させる』対応ということです。

かづお
かづお

でも臨床ではどうやればいいの?

そこで「Swallow Chair」を活用してみる

「頭部は正中のまま、体幹のみを回旋させる」支援策として「Swallow Chair」を推進しています。

画像引用:嚥下時の姿勢調整における評価訓練用椅子の有用性

この支援機器により、「体幹の回旋」が簡便に設定でき、左右いずれかの咽頭に効率のよい移送が行えるとのことです。

メカニズムの詳細は文献をお読みください。

【重要】リクライニング座位は咀嚼効率を下げる!?

通常、私たちは座った状態で咀嚼しますが、リクライニング位では重量の影響を受けるため、普段とは異なる嚥下動態になります。

文献内では『リクライニング位では咬筋の筋活動が小さかった』という報告があります。

かづお
かづお

つまり「咀嚼能率」が下がる可能性あり。

また、理学療法の文献でも、リクライニング位「30°と90°」との間に有意差があるとしています。

参考文献:健常者の体幹および頭頸部の姿勢変化が咀嚼の効率に及ぼす影響

姿勢調整は患者によりけりの「対応」を

評価上、誤嚥リスクが少なく、咀嚼に問題がある患者であれば「リクライニング位よりも座位」に近い姿勢のほうが咀嚼効率がよいことが示されています。

もちろん、嚥下障害は「複雑性のある病態」ですので、それぞれに適した対応が治療のカギですね。

とかく「固形物を開始する際は考慮したいポイント」として記してみました。

嚥下評価力を高める「文献」のご紹介

STには欠かせない「VF」評価の文献を、わたしのほうで要約してみました。

サクッと学べるおススメの記事ですよ。

【嚥下臨床】VFの画像解析について調べてみた【文献情報】
「VF」の解析方法をくわしく述べた文献をしらべて、要約してみました。嚥下臨床に役立つ内容です。

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ではー。