言語聴覚士といえば、転職しやすい部類の職種です。ただ、転職後の働き方(マインド)には、少し気をつけたいところ。
というのも、経験年数の長いSTほど、転職が危うくなることがあるからです。
その理由を、2つに絞って説明していきます。
転職先にある「ルール」を知ること
転職すると、あらためて気づくことがあります。
それは、これまでの職場と転職先では、「考え方や仕事の進め方が違う」ということ。
人は無意識に、これまでの経験則を基準にしてしまいます。その経験が、思わぬすれ違いにつながることも。
まずは新しい職場のやり方を知ることから始めます。
これまでと転職先の「違い」を理解する
実際にあったケースです。
前職で、経験年数のある転職STと現場の主任で意見が分かれ、問題に発展したことがあります。

その問題とはVF中に生じました。
テーマは、「喉頭侵入時のリスクをどこで線引きするか」でした。
VFには「Penetration-Aspiration Scale」や「喉頭挙上遅延時間」などの評価指標があります。
一方、当院では過去のアクシデントをきっかけに、独自の厳格なVFガイドラインが設けられていました。
しかし転職STはそれを受け入れられず、自身の評価力をアピールしながら、より積極的な嚥下治療の必要性を医師に訴えました。
職場の数だけ「考え」がある
たとえ良かれと思って提案したことでも、十分なディスカッションをせず、転職先の事情を知らないまま意見を通せば、「扱いにくい人物」と見られてしまいます。
- 職場の数だけ考え方がある
- 自分の経験則が絶対とは限らない
分かってはいても、いざ職場に立つと、培ってきた自分が出てきてしまうものです。

先ずは転職先のルールを尊重する。
そして、その環境のなかで自分の経験や強みを伝えていく姿勢が大切なのです。
「他者ベース」の姿勢を持つこと

つぎに、「他者ベース(他者理解)」というマインドです。
他者ベースとは、価値基準を自分ではなく、他者側に置く考え方です。
これは、職場のルールや人間関係、さらには「教育」にも大きく影響する考え方だといえます。
「価値基準」が他人にあること
転職者は、その経験を買われて、後輩の指導を任されることもあるでしょう。
しかし、ここで「自己ベース」を優先した指導をすると、後輩の成長を阻害してしまうかもしれません。

イギリスにこんな諺があります。
You can take a horse to the water, but you can’t make him drink.
これは、その人を導いたとしても、最終的に行動するかどうかは、その人自身だという意味です。
もちろん、指導者が培ってきた経験を伝えることは大切です。ただ、お節介が過ぎるのも、いささか考えものかもしれません。
そのことを具体的に記録したブログがあります。

経験のある言語聴覚士が転職で知っておきたい「2つ」のこと
ここまでになります。
私自身、転職を経験し、また転職してきた先輩STから指導を受けた経験もあります。そうした経験を通じて得た学びを、ここに記してみました。
転職を控えた方にとって、何かの参考になれば幸いです。
