はじめまして!
言語聴覚士(ST)のかづおと申します。
言語聴覚士の情報はネットで検索すれば多数表示され、その多くは活気のある表向きなサイトばかりです。
しかし「言語聴覚士 やめたほうがいい」という情報も散見します。

なぜ、やめたほうがいいのか?
その理由について、現役の言語聴覚士が”忖度なし”でお伝えしていきます。
STをめざそうと考えている方、必見です!
▼こちらも必見です!!

» 言語聴覚士をめざす人は見て!気になる学生生活の様子をまるごと回答
なぜ、言語聴覚士はやめたほうがいいのか?【就職前に現状を知ろう】
まず、はじめに。
言語聴覚士は素晴らしい職業です。STの私が本心でそう思います。
花形なお仕事です。
人に誇れ、責任とやりがいに満ち溢れます。他人にもすすめたいと思える職業です。
ですが、

知っておいてほしいことがある。
現実にある問題点を知ったうえで、STを目指してもらいたいと私は思うのです。
「言語聴覚士はやめたほうがいい」3つの理由
「なぜ、言語聴覚士はやめたほうがいい」のか?
その代表的な理由を”3つ”お伝えします。
- ①:給料があまり高くない
- ②:職種によっては供給過多
- ③:リハビリの質の低下
この3つはこれから言語聴覚士を目指すにあたり、”絶対”に知っておくべき情報です。
①:給与があまり高くない
給与面からお話ししていきます。
「リハビリ職=高待遇」という考えで、STのお仕事を選ぼうとされている方は、ご自身の情報を見直していく必要があります。
リハビリ職の年収は、日本人の平均年収と比べて同じぐらいか、それよりも低い現状です。
- 日本人の平均年収:433万(年収分布:264〜644万円)
- リハビリ職の平均年収:352万円
職場によって多少なり前後しますが、平均はこんなもんでしょうか。
STは医療職にも関わらず、収入は低いといえます。

何故なのでしょうか?
リハビリテーション報酬は国が決めている
基本的に「リハビリの報酬(医療・介護保険下)」は国が決めており、私たちが勝手に変えることはできません。
ざっくり説明するとこうなります。
- 20分(1単位)約2,000円
- 1日の上限:6~9単位
保険内では最大9単位(3時間)までリハビリを行えます。
最大9単位まで実施可能な病院では、理学・作業療法士が3単位(1時間)ずつリハビリを実施した場合、STは1時間までとなります。
定められた時間を超えてリハビリを行うこともできますが、病院側の収益にはなりません。
また、経験年数によって診療報酬が変化することはありません。

1年目でも10年目でも同じ報酬額です。
要するに、稼げる額に限度があるということはその分、私たちに支払われる給料は低くなります。
▼療法士の”将来性”について具体的に解説しているサイトがあります
» 20代の理学療法士の給料はいくら?【給料面が不安なPT・OTが20代の内にやっておくべきこと】
タイトルは理学療法ですが、STを目指す人でも、知っておくべき情報です。
②:職種によっては供給過多
「言語聴覚士」は令和2年の時点で約34,000人ほど。
少しずつですが増えてきています。

よく聞くのが理学療法士の将来性。
理学療法士(PT)は毎年1万人ほど誕生します。
そのため近い将来、人口比率(10万人)に対する療法士数は約3倍ということに。
ざっくりいうと、”もうそんなに必要ないよ”ということです。
平成29年度時点の有資格者数を見ていきましょう。以下の通りです。
- 理学療法士(PT):約15万人
- 作業療法士(OT):約8万人
- 言語聴覚士(ST):約3万人
圧倒的にPTが多い現状。
これだけ有資格者がいると「就職はイス取りゲームだ!」なんていう声も見聞きします。
このはなしは事実なのですが、現場の声はどうなのでしょうか?
リハビリ職は”本当に供給過多”なのか?
個人的な意見ですが、私はそう思いません。
一部の病院に人手が固まる一方、地方だけでなく、都内でも常時募集している病院・施設が目につきます。
職場環境によって人手が定着しないケースもありますが、やはりどこもかしこも人為確保に躍起になっているのが現実です。
考えられる理由として、資格者数と現役で働き続けている人はイコールではないということ。
また、フリーランス療法士といった働きかたの多様化もあります。
③:リハビリの質の低下
とても大切なお話しです。

業界の未来に関係するお話です。
昨今のリハビリテーションは「質」が低下しているという指摘を国から受けています。
国としては「質の低い=効果がとぼしい」ものに医療費を掛けようとは思いません。
そこで2016年より、リハビリに支払う診療報酬を厳しめにするという改定案が出されました。
この法案以降、療法士の年収は大幅に減ってしまいました。
今後もまたリハビリの質を追求されぬよう、言語聴覚士は自分たちの職域をまもるために日々研鑽に取り組む必要があります。
※診療報酬改定は年々変化するため、常に情報の更新が必要です。
【まとめ】なぜ、言語聴覚士はやめたほうがいいのか?
話しをまとめます。
- 療法士の給与はそこまで高くない
- 医療業界は社会保障に影響を受ける
- リハビリの質を高める必要がある
ここまでずっと悩ましい内容ばかりで…ごめんなさいmm
ですが、現状を知ることはとても大切なことです。

熱意だけでは続かない仕事なんです。
STを目指す方はここまでの話しを踏まえたうえで、
「自分に適した仕事」なのかどうか?
考える必要があります。
さて、本題はここからです。
わたし個人が本当に伝えたいのは、
言語聴覚士として働くことの「やりがい」です。
【やりがい】言語聴覚士として働くことの「楽しさ、すばらしさ」
言語聴覚士として働いてわかること。
それは働いている多くのSTが「やりがい」をつよく感じています。

やりがいは”幸福”に影響します!!
※さきほど収入面のはなしを出しましたが、必ずしも「収入=幸福」ではありません。
ただ、ひとえに「やりがい」といっても人それぞれですよね。
そこで”やりがいを客観的に調査した研究結果”をお伝えします。
データでわかる療法士のやりがい「満足度が高い」
リハビリテーション職はやりがい(満足度)のある仕事だという研究結果があります。
医療・介護職にカテゴリーを絞り「やりがい」を調査したところ、以下のような結果が出ました。
- 1位:助産師
- 2位:保健師
- 3位:言語聴覚士
» 参考先:医療・介護職「しごと満足度ランキング」|全40職種を発表
数ある医療職のなかで、言語聴覚士はなんと3位!

これには私も納得です。
また、外国の研究でも療法士がランクインしています。
シカゴ大学の2007年の『満足度の高い職業研究』では2位に”理学療法士”がランクインしています。
研究によると「感謝している人の声や表情を受け取れることができる仕事」ほど、満足度(やりがい)が高い傾向があるといいます。
リハビリのお仕事はその最たる職業だといえます。
言語聴覚士の”やりがい”はどうなの?「わたしが伝えたい」こと
さて、言語聴覚士は「客観的にやりがいのある仕事」だということがわかりました。
では、実際に働いている人の心情はどうなのか?

ここからは”私個人”の意見ですが…
私にとってSTとしての日々は、とても有意義で尊い経験ばかりでした。
- ことばの理解が進む「失語症」患者さん
- お口から食べれるようになった患者さんの表情
- 気管切開の方が、カニューレを付けて声が出た瞬間
ここには書ききれない思い出や感動、かけがえのない体験がたくさんあります。
それらは「言語聴覚士」だからこそ、得られた人生経験です。
これは忖度なく、私自身の”本音”です。
暗い話しもしてきましたが、どの業界にも悩ましい部分はあります。
働いていて大変なときもありますが、それ以上に喜ばしいお仕事だということをあなたにお伝えします。
さいごに、言語聴覚士を目指すあなたへ

ここまでおつかれさまでした。
言語聴覚士に興味を抱いた…あなたへ。
STはすばらしいお仕事です。
ですが、物事にはかならず「向き不向き」があります。
目指そうとする業界の実情を知り、情熱だけではない、冷静な職業選択をしようとする視点も持ち合わせていただきたいのです。
言語聴覚士として、あなたの将来を応援しております。
では。
それと、こういった本もあります。
STを目指すうえで参考になるかもしれません。
▼こちらもご参考になれば

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