こんにちはSTのかづおです。
STといえば「言語」だった時代はとうにむかし。
STも呼吸リハを算定できるようになり、嚥下をあつかう言語聴覚士にとって「呼吸リハ」は必須の知識だといえます。
でも…むずかしい…。
と、悩んでいた私ですが、呼吸リハの『入門書』として最適だとおもえる参考書に出会いました。
ここではその本のご紹介となります。
»【頸部聴診法】VFのない病院での嚥下評価でSTが意識していること
【呼吸訓練】呼吸リハビリテーションの学習に最適な入門書のご紹介
ご紹介する本はこちら。
呼吸リハの”入門書”としておススメしたい理由はこの4つ。
- ①:呼吸疾患の要点がまとめられている
- ②:呼吸リハに必要なチーム医療の解説
- ③:写真付きで分かりやすい
- ④:目からウロコの深イイ知識
入門とは言わず『生涯のサポート役』になり得る本だと、私はそう思っています。
この4つをすべて語ると長くなるので、要点を絞ってお伝えします。
①:呼吸疾患の要点がまとめられている
本書ではこのような一文からスタートします。
「誤嚥をしても、喀出可能で免疫力があれば、肺炎は生じることなく経過する」
STであればしかるべき知識ですが、初学者にとっては核心を突く一文ではないでしょうか。
本書ではこのような”格言”をはじめ、領域別に深められた学びを”シンプル”に得られます。
- 呼吸器の構造
- 肺気量・分圧
- 血液検査、画像所見
- 呼吸リハ、薬物療法
- チーム医療
これらを通じて、本書の二大テーマ『誤嚥しないため』と『誤嚥したとき』を学んでいけます。
カテゴリーで別に解説しているので(私のような)勉強を忘れやすい人でも、いま何を学んでいるのか?分かりやすく、記憶に残りやすかったです。
②:呼吸リハに必要なチーム臨床の解説
読んでいて思ったのは「呼吸リハ」がいかに”チーム医療”なのかという点。
とりわけ栄養に関するページでは「なるほど…」といった一文があったんです。
呼吸疾患では、吸気時に横隔膜の運動制限があるため、頸部の呼吸補助筋が収縮している。
さらに食事による呼吸困難から摂れるエネルギーが下回り、その結果『体重が減少』していく。
この知識があるだけでも、呼吸疾患に”栄養サポート”の必要性が浮かんできます。
逆に言えば、栄養サポートなくしては、免疫は衰え、リハビリどころではなくなっちゃいますし、フォローできれば、在宅後も期待がもてます。
当然ながら、在宅後の『環境調整のポイント』もバッチリ説明されています。
③:解説が写真付きでわかりやすい(リハ症例の解説も)
わたしが感銘したのは「呼吸リハの実際」という題で、90代の患者さんへの症例です。
ごくありふれたリハの記載だったのですが、説明が『写真つき』だったので、文字だけでは整理しにくい情報が、手に取るように分かります。
写真が多いと全容把握しやすい!
たとえば「体位ドレナージ」や「触診・聴診」など、ことばだけでは理解し難いのですが、写真があることで、イメージし易くなると思います。
そのほかに「お薬」や「吸引機」までも写真付きですので、『治療方針に悩むSTの強い味方』になるはずです。
【感動】④:目からウロコの深イイ知識
ところどころに、納得できる知識がつまった本書なのですが、こんな一文もあったりします。
医療とは「死を防ぐ知識と技術」であり、一方リハビリは『生きる力を与える知識と技術』である。
この文言にわたくし、ちょっぴり感動してしまいました。
呼吸が整えば、口から食べられる可能性が高まるし、食べることで”生きる力”がみなぎってきます。
そのための「呼吸リハ」なのですが、その本質はきっと『生きる楽しみ』なのだなと。その生き甲斐を担っているのが私たちセラピストなんだと。
STの重要性を再認識できる本です‼
本書を通じて、呼吸リハの学びが深まれば幸いです。
ではー。