呼吸リハで有名な石川先生の「言語聴覚士のための呼吸ケアとリハビリテーション」の文献を調べてまとめてみました。
要点を得られるように記してあります。お役立てください。

»【必読】言語聴覚士おすすめの文献をまとめて掲載【不定期更新】
【呼吸リハ】言語聴覚士が学ぶべき呼吸ケアの要点【文献情報】
文献では、STならびに医療従事者が学ぶべきキーワードが示されています。
- チーム医療
- COPD
- 医療・介護関連肺炎(NHCAP)
このキーワードを中心に、要点をお伝えします。
» 言語聴覚士のための呼吸ケアとリハビリテーション|言語聴覚士研究
チーム医療の重要性
2018年に各呼吸学会により、「呼吸リハビリテーションとは継続して支援していくための、包括的介入である」と定義されました。
つまり、呼吸リハビリテーションとは原則として、チーム医療なのです。
- 回復から終末期までシームレスな介入
- 運動療法を中心とする
- ADLトレーニングを組み入れる
- セルフマネージメント
- 栄養指導
- 心理社会的支援
たとえば運動療法ひとつ取ってみも、我々STはPT・OTには及びません。STはそれぞれの分野のプロと結託し、STは自らの専門分野に注力する必要があります。
呼吸リハを「算定」から考える
さらに、重要なことを文献では語っています。
私が所属していた病院でも、STが呼吸器疾患へ介入しやすくなったことは大きな前進でした。
しかし、呼吸リハはSTだけで完結するものではなく、多くはチーム医療が必要です。
無理なST介入は患者さんや医療全体の負担につながる可能性があるため、私としても、適切な適応を考えることが重要だと感じています。
COPDを知る
COPDは慢性気管支炎と肺気腫を含む概念で、主な原因は「喫煙」とされています。
文献ではCOPDの認知度の低さと未診断例の多さが問題視されています。
STが担当する患者さんにも未診断のCOPDが含まれる可能性を念頭に介入するようにしてください。
言語聴覚士の「COPD」評価
文献で紹介されているCOPDの評価は以下。
- フレイル・サルコペニアなどの低栄養
- 喫煙歴(喫煙指数:Brinkman指数)の確認
- 喫煙歴患者へのパルスオキシメーターの確認
- Barthel Indexの呼吸器版を用いる
(喫煙指数1000以上はCOPD合併の危険性は高い)
Barthel Indexの呼吸器版はCOPDを簡便に評価できる方法のひとつです。実際のバッテリーの詳細は下のリンク先をご参考ください。
» 呼吸器疾患特異的 ADL 評価|日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 2022年
「COPD」のリハビリを考える
別の文献では、アイルランドの嚥下障害患者の約50%がCOPDを合併していたとする報告がありました。
そのリハビリとして、呼気筋力トレーニング(EMST)が、COPD患者の呼吸と嚥下機能の改善に効果的であるとされていました。
EMSTはPTが得意とする分野ですが、COPD患者の多さを考えると、STも呼吸リハを率先的に学ぶ必要性があるでしょう。
医療・介護関連肺炎(NHCAP)

COPDに次いで、命が脅かされる肺炎。なかでも「NHCAP」は、STであれば目を逸らせない肺炎原因のひとつですね。
文献でも詳細に説明されています。
肺炎の「死因」を改めて知る
- 肺炎:5位
- 誤嚥性肺炎:6位
2019年度の調査では、死因選択ルートをまとめると、老衰を上回り「3位」だということが判明します。

内訳の80%が「誤嚥性肺炎」でした。
この「誤嚥性肺炎の機序」として、NHCAP(nursing and health-care-associated pneumonia)が問題視されています。
NHCAPを改めて知る
NHCAPとは、介護を必要とする高齢者、長期病床や介護施設に入所する患者が主たる対象者として、発症する肺炎です。
以下は、おもな発生機序になります。
- 誤嚥性肺炎
- インフルエンザ後の二次細菌性肺炎
- 透析などの血管内治療による耐性菌性肺炎
- 免疫抑制薬や抗がん薬による治療中に発生した日和見感染症としての肺炎
発生機序の多くは、「誤嚥性肺炎」です。
誤嚥性肺炎は、誤嚥の量や内容などの「侵襲因子」と、活動量や栄養・免疫能などの「抵抗因子」のバランスが崩れたときに発症するとされます。
そこで、各因子を分析することが、誤嚥性肺炎のリハビリへの近道になります。
「誤嚥性肺炎」の侵襲因子
かなり重要です。
誤嚥性肺炎を生み出す可能性のある活動について、文献では以下を挙げています。
- 摂食・嚥下トレーニング
- 食事形態の検討
- 睡眠薬・抗うつ剤
その一方で、診療ガイドラインには適切な治療法の指針は示されていますが、予防法においては十分な記載がないとされます。

つまり、STの出番です!
「誤嚥性肺炎」の抵抗因子(予防法)
文献で説明されているSTによる予防法(リハビリ)を列挙していきます。
- 口腔ケア(最重要)
- 食事中の姿勢調整
- 咳嗽の介助
- 呼気筋力トレーニング(EMST)
- ワクチン接種(肺炎球菌・インフル)
代表的なのが、誤嚥性肺炎の多くを占める「睡眠中の誤嚥」です。そのため、口腔ケアは誤嚥性肺炎の重要な予防因子になります。
また、唾液の不顕性誤誤嚥の患者は、睡眠薬・抗うつ剤の使用率が高いとされます。
これらの予防としては、日中の積極的な離床・活動をはかり、サーカディアンリズムを整えること。栄養療法の併用も、活動のために欠かせません。
誤嚥性肺臓炎への予防法
別名「科学性肺炎」と呼ばれ、胃の内容物の誤嚥を指します。
病態情報は割愛しますが、筆者の経験としては「フレイル・食道期障害」などの患者にリスクを感じます。
誤嚥性肺臓炎の予防には、食後2時間程度の座位保持が検討されますが、筆者としてはあまり現実的ではない気がします。
筆者の「誤嚥性肺臓炎」への取り組み
2時間の姿勢保持は健常人でも辛いものがあります。そこで、筆者の臨床経験を挙げてみます。
姿勢の緩和(30〜45度のリクライニング)
背もたれを30〜45度倒した「セミファーラー位」にして、逆流を防ぎつつ体圧を分散させます。
時間の段階的短縮
逆流リスクが最も高い食後最初の30分〜だけ、高めの角度を保ち、その後は浅いリクライニングへ移行します。
「右下位」の活用
食後30分〜ほど経ったら、胃の幽門が下になる右側を下にした横向きで休ませて、胃の排空が促します。
活動との組み合わせ
テレビ鑑賞など、離床を伴う活動を組み込みます。

»【姿勢調整】嚥下リハの姿勢の意味や効果を調べてみた【文献情報】
あくまで筆者の拙い臨床経験であり、ご紹介中の文献情報ではございません。
文献著者の「参考書」をご紹介
ご紹介した文献の著者「石川先生」の参考書をリンクします。
私が3年目の頃に出会い、嚥下・呼吸分野を学ぶきっかけになった一冊です。
学びの多い本なので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
ではー。
