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リハ職が医療現場でAIを使う前に知っておきたいこと

Column

AIの導入が進む近年、療法士の皆さんはAIを使っていますか?

かづお
かづお

私はめちゃくちゃ使ってます!

便利で高性能なAIですが、思わぬ落とし穴もあります。ここでは、AIを安全かつ効果的に使うポイントを簡潔にまとめます。

基本的には「ChatGPT(無料版)」を中心にお伝えします。

リハ職向け「ChatGPT活用ガイド」を読んで分かったこと
「セラピストのためのChatGPT活用ガイド」を読んで分かったこと、臨床での活用法や注意点を解説。
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【リハ職必見】医療現場でAIを使う前に知っておきたいこと

まず、重要なことからお伝えします。

個人情報の入力はガイドライン違反

患者さんの個人情報をAIに書いてはいけません。

このような出来事があったようです。

先日も「血液検査データをスマホで撮ってChatGPTに鑑別させている」という内容のポストを堂々と挙げている医師がいたが,論外である(個人識別情報が写っている場合はガイドライン違反どころか違法である).

» AIによる疾患鑑別のpit fall~個人情報の扱いと精度の問題~|EARLの医学・AIノート

恐ろしいのは、こうした情報を「個人情報には当たらない」と思い込んでしまうこと。

かづお
かづお

その一例がラボデータです。

検査結果は数字だけだから大丈夫、と思ったら要注意。以下の情報を辿れば、患者を特定できてしまいます。

  • 名前(イニシャル)
  • 年齢
  • 検査年月日

入力情報がAIサービスの外部サーバーへ送信され、患者情報の流出につながる可能性があります。

内容を「マスク」して質問する

情報を減らせば安全性は高まりますが、必要な情報まで削れば回答の精度が下がります。

そこで、「質問内容をマスクする工夫」が求められます。

  • 具体的なプロフィールは排す
  • 年齢層・性別・主訴・病態の経過のみに絞る

【年齢・症状・経過】

  • 70代男性
  • 右片麻痺・失語症
  • 発症〇時間経過

【ラボデータ】

  • HbA1c:7.5%
  • D-dimer:3.2 μg/mL
  • PT-INR:1.1

【失語症検査】

  • 聴理解:単語レベル
  • 発話:非流暢
  • 復唱:不可

当然ながら、カルテ情報のコピペや撮影写真のAI入力は違反です。

AIは責任を負わない

タイトルの通りです。

AIが提示した治療法を臨床で用いたとしても、その最終的な判断と責任は、AIではなく使用した本人が負うことになります。

責任の所在については、診断、治療等を行う主体は医師であり、その最終的な判断の責任を負うものである。

» 保健医療分野AI開発加速コンソーシアム|厚生労働省

医師に向けた行政の文言ですが、リハ職にも当てはまる内容です。

AIをうまく活用する方法

お次は、AIを上手に使う方法をお伝えします。

プロンプトの精度を上げる方法

ChatGPTにうまく指示が伝わらないときは、「Markdown記法」を使って文章を構造化すると、伝わりやすくなります。

【文章見出し】

「#」を使うと、AIはその文章が「見出し」であると理解します。

# 股関節脱臼の解説

大腿骨頭が、寛骨臼・臼蓋から外れてしまう…

## 股関節訓練の方法

中殿筋など、股関節周囲の筋力向上…

「#」の数によって、見出しの階層を指定できます。

 

【文章箇条書きリスト】

指示内容や条件が複数ある場合は、「・」や「-」を使って箇条書きにすると、AIに内容が伝わりやすくなります。

以下の条件を守ってください。

  • 医療用語を避ける
  • ですます調で書く
  • 一行50文字以内にする
 

【文章3つのハイフン】

話題を切り替える場合は、文章内に「—」を入れると、AIが指示の区切りや文脈の変化を把握しやすくなります。

ここまでの質問をすべてまとめてください。

ーーー

次に、股関節周囲の筋力訓練について解説してください。

「ステップバイステップ」で質問する

AIに情報を調べてもらう際に「ステップバイステップで調べてください」と伝えてみてください。

それだけで、AIが調査の手順を意識して情報を整理してくれます。

【ステップバイステップ】
調査や問題解決をいくつかの段階に分け、順番に進めていく方法。

さらに、

  1. 調査対象を整理する
  2. 情報を集める
  3. 複数の情報源を比較する
  4. 内容を確認する

といったように具体的な手順を指定することで、より効率的に調査できます。

ハルシネーション(幻覚)に注意

AIは、事実と異なる情報をもっともらしく回答することがあります。これを「ハルシネーション」と呼びます。

正直なところ、年々ハルシネーションは減ってきています。

かづお
かづお

AIの進化ですね。

ですが、医療分野では、AIの回答を鵜呑みにせず、以下の点を意識します。

  • AIの回答をそのまま鵜呑みにしない
  • 文献や情報源を確認する
  • 重要な情報は原文や一次情報まで確認する
  • 複数のAIを使って情報を比較する

特に医療分野では、AIだけで判断せず、複数の情報源と照らし合わせることが大切です。

そのため、ChatGPT以外のAIも知り、目的に応じて使い分けることをおすすめします。

複数のAIを使って情報の精度を高める

ここでは、療法士にとって便利で、無料で使えるAIを2つ紹介します。

「Perplexity」を使ってみる

「セラピストのためのchatGPT活用ガイド」でも語られていますが、医療情報の検索には無料で使える「Perplexityパープレキシー」がおすすめです。

Perplexity
Perplexity is a free AI-powered answer engine that provides accurate, trusted, and real-time answers to any question.

「Perplexity」の強みをかんたんに整理するとこんな感じです。

  • 情報のソースを提示してくれる
  • 医療系に強いAIを無料で使える
  • 文献検索にPubMedを用いる

ただし、ChatGPTのような文章作成に特化したAIではないため、検索した文献の要約にはChatGPTを使うことをおすすめします。

「Gemini Notebook」を使ってみる

Gemini Notebookは、自分で用意した資料をAIに読み込ませ、その内容について質問できるツールです。

Gemini Notebook | AI リサーチツール&思考パートナー
Gemini Notebook は、ソースを分析し、複雑な内容をわかりやすく整理して、コンテンツを進化させる、AI リサーチツールであり思考パートナーです。

例えば、こんな手順で使っていきます。

  1. 訓練方法について書かれた文献を見つける
  2. Gemini Notebookに入れる
  3. Gemini Notebookに治療効果を質問する
  4. 情報不足がしていれば、新しい文献を追加する

このとき、文献情報を集めるのに「Perplexity」が便利です。

Gemini Notebookのすごいところは、文献だけでなく、ブログサイトや動画にも対応している点です。

自分で用意した資料をもとに回答するため、「ハルシネーションを抑えやすく、情報もまとめやすい」のが特徴です。

AIで医療現場はどう変わるのか

かの有名な文献「総合リハ」から、AIを導入した現場の様子をお伝えして、終わりたいと思います。

この文献には大野木先生の「嚥下評価の講座」も掲載されており、嚥下を扱う療法士にもおすすめです。

AIにより、現場の業務はどう変化するのか

2023年、NECと東北大学病院の共同研究では、カルテ情報から紹介状や退院サマリーを自動作成する実験が行われました。

その結果、文書作成時間を「平均47%削減」できたそうです。

かづお
かづお

現場の負担軽減が大きいですね。

医療現場のAI活用は、米国をはじめ日本でも、NECやIBMなどが研究開発を進めています。

リハ職の現場にも、AIは浸透するのか

2025年時点でも、AIを導入していない医療機関は「約72%」という調査があります。

» 医療AIの導入が進んでいない現状|HUMAN SCIENCE

一方、「医療DX推進体制整備加算」にもみられるように、国は医療DXを推進しています。今後、AIも医療現場に浸透していくのではないでしょうか。

療法士的には、実施計画やサマリーの自動作成、さらには訓練プログラムの最適化までAIが担ってくれたら、かなり便利になりそうです。