こんにちは。STのかづおです。
失語症はやりがいを感じる半面、”むずかしい”と感じませんか?
『どういったアプローチがよいのだろう』と、東奔西走している私ですが、とある一冊の本を期に理解が深まりました。
ここではその本のご紹介となります。
失語訓練に悩むSTさんは必見です!
失語症臨床に役立つ1冊をご紹介
今回、参考にさせていただいた本はこちら。
参考書を読んでいて「勉強になった~!」と感じた点は以下の3つ。
- ①:言語モダリティーを活用した訓練法
- ②:失語症状(迂言など)の有効活用化
- ③:動画で理解を深められる
これらはこの本を選ぶ『動機』になり得ますので、具体的にお伝えします。
①:言語モダリティーを活用した訓練法
「言語モダリティー」に注目した解説がとても参考になりました。
STにとっては馴染みのある訓練法のひとつに「刺激法」がありますよね。本書ではこの刺激法の応用的なバリエーションを解説されています。
例をあげると『書称で一部でも書けた文字を使用して、音読からの発話』といった具合に、患者の言語モダリティーによりけり、アプローチを先鋭化していくといった技法です。
これと似た方法で「音韻・意味セラピー」なんかがありますね。
»【失語症訓練】音韻&意味セラピーについて調べてみました【文献】
そのため「失語症のタイプ」に固執せず、訓練法を学ぶことができます。
②:言語症状の有効活用化
目標とする表出にむけて、迂言や関連語などの言語症状を『文脈的なヒントとして活用』する技法です。
以下、本文から引用。
たとえば、傘の絵に対して患者さんが「雨」といった場合、「雨の日にさすのは?」と導いたり…(中略)
このように「症状=障害」としてだけではなく、患者さんの大切な「喚語力」として目標語の表出に利用します。
ただしこういった方法は「STの鋭い観察力」が試されます。
分かってはいても臨床で咄嗟にできるものではありませんし、慣れが必要です。
そしたら「動画」で学んでみませんか?
そう『動画』です!
この参考書はそういった訓練法を動画でも学べるメリットがあります。
③:動画で理解を深められる
動画は著者であるST先生と患者との、実際の臨床風景です。
多数の臨床が公開されており、個人的には『呼称訓練』が大変参考になりました。
一部例に挙げます。
「犬」を引き出すために「なんて吠えますか?」と誘導後、患者の発した「ニホンケン」という表出を利用して、STが「犬」と書き、音読をうながす。
こういった方法があるのか!という発見のほかに、動画だからこそ学べる『声掛けのニュアンス(刺激の強弱)』なども視聴することができます。
失語症訓練の流れに悩むSTであれば、十分価値のある本だといえます。
この参考書は「言語報告書」の参考にもなる
さいごにもう一点。
わたしの主観ですが、この参考書は「患者情報がコンパクト」に記されているので『症例作成のヒントや参考』になると思います。
失語、高次脳機能など、抽象的な分野をあつかうSTとしては、伝達力スキルは欠かせないと思うのです。
情報をコンパクトにまとめられると、書き手の思考も整理されるので『おもわぬよき訓練法』のヒントが得られたりすることも。
そういうことありませんか!?
そういった点も含め、本書を手に取る参考にしてみてくださいね。
今回はここまで。
では~